日本刀は古くからわが国が誇る鉄の文化財です。

四方山話 チャレンジ

2014年05月29日 更新

チャレンジ

「エッ」と声を出しそうになった刀に出会った。古い拵、それなりの総金具である。
刀身を見る「オッ助広だ・・・・」見事などう乱刃、玉を置き、どう見ても助広だと思ったが、頭の中で助広、助直、包貞、新々刀の正繁、正秀、助隆と次々に思い浮かべた。

姿、地鉄から幕末の刀匠の作ではない。反りが深く、2尺5寸はあり、地鉄は小杢目が良く詰み美しい。

茎を見る。丹波守吉道のシッカリした堂々たる銘が錆肌の中にあった。後代の作である。すだれ刃の片鱗も無い刃文である。

当時から高い評価の助広のどうらん刃に対しての吉道の刀工としての意地というか、闘志のようなチャレンジ精神を感じさせる一振であった。
(武富記)