日本刀は古くからわが国が誇る鉄の文化財です。

四方山話13 公益事業も楽ではない

2013年05月18日 更新

年配の方々の定期的な集りが有り、酒席の前に何かの話しを聞くことになっていて、「お前チョット来て刀の話をしてくれ」とのおさそいが有った。

「公益財団法人 日本美術刀剣保存協会」の協力団体、博多支部の支部長である私は思ってもいなかった依頼に、公益を果すべく勇躍して出向いていった。

70才位の方々の集まりであった。手元の刀を一本持参し製作年代、製作地、刀工の説明等、手短に話して御役ごめんをこうむり、酒席の下座でごちそうになった。

程なく、後悔した。二十人位の集りであったが、ビールが二、三杯入ったところで、一人、二人と話しかけられた。

質問の第一は「どの位の値打ちのものか」刀の愛好者の中では、第一に金額の話はしないものであるのでチョットびっくりしたが、適当にごまかし、お茶をにごしていたが、中に、この質問のみに興味を持たれている方が居た。

「美術品を前にして、その価値を金額で質問するのは、実はマナー違反になるのです」
と、ていねいにお答えした。

ここから某テレビ番組の話になった。

「○○○に出してみたらどうか」との御意見である。
「そんな気持は有りません」と気の長いことで有名な私も、だんだんそっけなく答えるようになった。

酒毒のせいか、「出してみろ、はっきりするではないか」との御託宣につい「そんな必要は一切無い」と啖呵をきってしまった。

油に火をそそいだことになり、座が乱れそうになった。

帰ろうと立ち掛ったところで、最後屁、それもとりわけ臭い一発をかまされた。

「えらい立派な刀のようだな、○○○に出す必要もないとは見上げたもんだ。ところで、そんな立派な物が、なんであんたの所に有るんだ」

決して、自慢話はしておりません。日本刀に興味を持っていただければと、ていねいに話したのです。

言葉を失ってしまい幸いでした。そっと退席しました。

六月に市民センター講座に呼ばれてる。時間もたっぷりとってもらっている。
充分な準備をして、楽しい時を過し、出席者の方々に喜んでもらえるように、この度の経験を他山の石としたい。

追伸。
当日持参した刀は少し位は自慢しても、どなたからも文句を言われることのない御品であったことを申しておきます。くやしいから!!