日本刀は古くからわが国が誇る鉄の文化財です。

平成28年度の総会と研修会の報告

2016年04月29日 更新

平成28年度の総会が4月10日に南区の南市民センターで開催され、新役員及び諸案が承認されました。
その後、3振りの太刀と、新作鍔で、日刀保より無鑑査に認定された成木一成氏の鍔3点にて、研修会を行いました。
太刀については、相談役の米田氏、鍔は研究相談員の上村氏を講師に、会員21名(見学者女性1名)で行いました。
太刀3振りと、鍔3点は下記の品でした。

1号 太刀
重刀(底銘で行安、)小切先、身幅やや細め、鎬高く、平肉ついて、腰そり先伏せで、刃長 812mmの見事な太刀。
刃寄りに綾杉肌、地沸ついて地景入り、刃文、小沸ついた細直刃に沸筋、金筋掛かり、ほつれ、打ちのけがある。
2号 太刀
特重刀 銘 忠重 身幅やや細く、反り極めて高く、踏張りあり、優美な姿刃文は、直刃主調に小乱、小丁子匂深く、小沸つき、匂口明るい。
帽子小丸茎は生で、刃長は2尺4寸6分(764mm)。

3号 太刀
重刀  銘 雲生 刃長 676mm 細身で反り高く、腰反り、元先の幅に差あり。地斑入り、地沸微塵につき、乱れ映り立ち、細直刃に小互目、小丁子交じり、刃、所々染みる。彫 表に腰樋に梵字、裏に護摩箸と梵字

1号  尾張鍔写し。鉄地、丸形(8×8cm)、両櫃穴、牡丹の図透かし、銘 一成造鉄骨が現れ、地肌に変化がある。兵庫県宍粟郡千草川支流の岩野辺の砂鉄が原材

2号  尾張鍔写し。鉄地、丸形(8×8cm)両櫃穴、(片側は砂浜形) 銘 恵那山麓住 一成造。
焼き手腐らし、耳に鉄骨あり。兵庫県宍粟郡千草川スキー場の砂鉄が原材

3号  鉄鍔 五木瓜型 表面に護法童子図、裏面にも鏨彫あり。耳に鉄骨、羊羹色。
銘 一成造

太刀3振りは鎌倉期でしかも在銘、1号の太刀は2尺6寸7分の長寸、生茎、しかも底銘ながら在銘、鎌倉前期の現存の稀な古波平。
2号は鎌倉初期を下らない古備前の生茎で在銘の太刀、3号は鎌倉末の雲生の生茎、銘字が鮮明で、大筋違いの鑢目の残る太刀でした。
鍔は原材料の砂鉄の採集地が明らかであり、現物を鑑賞することの困難な鍔を手に取って観ることができ、有意義な研修会でした。
(武富 記)

16.4.29-1 16.4.29-2