日本刀は古くからわが国が誇る鉄の文化財です。

5月定期鑑定会報告

2015年06月11日 更新

5月の鑑定会は岐阜支部の近藤支部長の持参による6振りで、17日に中央市民会館にて開催しました。

久々の好天と場所の良さ、岐阜支部長の来福で長崎支部からは6名、近隣支部の大分、宮崎、熊本、北九州、八幡の各支部員の他に、過去数回参加の女性の他に新たに1名の女性の見学があり、40数名の盛会になりました。

鑑定刀は下記の6振りで、備前刀3振り、関刀3振りでした。
1号
短刀  銘 備州長船住長義 貞治二二年乙巳二月日  (第8回重要刀剣)

平造り、身幅広く、重ね薄い。掘 表、素剣。 裏、護摩箸。刃文、互の目と互の目を浅い湾れで繋ぎ、表裏揃いの小沸に砂流しかかる。
2号
短刀  銘 氏貞 永禄十一年八月十三日

平造り 身幅広く、浅く反る。彫 表、腰樋と梵字に連台、裏、香箸。鍛え、板目白ける。刃文、裏表揃い、上半複式互の目、下半湾れに小互の目、刃縁沸つき、匂い足入る。
3号
小太刀 銘 吉包作 (重要美術品 尾張徳川家伝来)

鎬造り 腰反り深い。小板目やや肌立つ、鎬にそつて映りあり。刃文、小沸出来の直丁字に小乱れ交る。
4号
短刀  銘 兼定

平造り、身幅細め、小板目に地沸につき、白け映り。匂い締りの直刃。
5号
短刀  銘 備州長船盛景 至徳二二年八月

平造り、身幅狭く、重ね稍厚い。地景交りの肌に棒映りが目立つ。刃文、匂締りの直刃。
6号
刀   銘 兼房作

鎬造り、身幅尋常、中切先伸びる。板目肌に杢交じり肌、刃寄りに流れる。刃文、中直刃、沸よく付く。

 

1号刀の長義、更に5号の盛景は小振りの造り込、刃文は直刃で、苦労しましたが、入札後の近藤氏制作の精密な押し型(A3紙にて7枚、全員配布)での説明で素見を恥じた次第でした。

又、最高点の賞品として額装された押し型が贈られ、氏の卓越した手書きの押し型の技術に敬服するとともに毎回の賞品の用意に感謝と御礼を申し上げます。

(武富記)
15.6.11-1 15.6.11-2