日本刀は古くからわが国が誇る鉄の文化財です。
1月の定期鑑定研修会の報告
1月14日(日)、福岡市南区市民センターにて、午後1時30分より支部主催の定期鑑定研修会を開催しました。
異常な寒波のなかでしたが、参加された会員には、用意された研修刀は古刀の備前刀4振りで、良い研修の場でした。
1号 脇指 薙刀直し、大すり上げ無銘、義光極め。庵棟、身幅やや広く、重ね尋常、反り浅い。
地鉄、小杢目肌良く詰み、地沸よく付き、美麗。刃文、 小丁字連なり、小沸つき、直刃調。刃文に副い映りあり。
2号 刀 長巻直し、銘 備州長船師光 2尺1寸、大切先、庵棟、身幅広く、反り浅い。
地鉄、板目に杢目肌、流れ肌交じり、大肌目立ち、肌立つ。刀傷あり。棒映りやや白ける。
刃文、互の目、丁子、腰の開いた刃交じり、全体的に刃文小振り。
3号 大脇指 銘 備前国住長船忠光 文明19年8月日 目釘穴 2個 平造り、庵棟、身幅やや狭く、重ね尋常、先反り深い。
小杢目肌良く詰み地沸つく 。刃に副い棒映り有。刃文、匂い締り気味の直刃。
4号 刀 銘 備前国住長船甚介清光作之 天正6年8月吉日 鎬造り、庵棟、身幅広く、重ね厚く、頑丈な造り込。
地肌良く詰み、地沸つく。刃文、匂締りの直刃。独鈷剣の彫あり、剣先の肩大きく張り、又、独鈷の部分も異風。
1号刀は特に地肌が見事で、刃文も小丁字が整然と連なり、おそらく茎には長銘が切られていたのではと想像されます。
2号は南北朝期の刀であり、暦戦 の跡を残す貴重な刀でした。
3号は研磨前に視た会員がいて、研磨後の見事な地肌、刃文の変わり方に驚いていました。
4号は彫が備前刀に観るものと異なるも、典型的な未備前刀との鑑定ができる刀でした。
(武富記)
南北朝期より、未備前期(天正)までの備前刀を4本展示して、時代を感じることができればとの ねらいでしたが、並べて観ると、時の流れを充分とらえることができたと思いました。
(米田)