日本刀は古くからわが国が誇る鉄の文化財です。

1月定期鑑定研修会の報告

2016年02月03日 更新

1月18日(日)、赤坂の中央市民会館にて、本年最初の支部主催による鑑定研修会を開催しました。
当日はやや、荒れ気味の天候でしたが、新年度からの入会予定の見学者もあり、26名の参加がありました。

鑑定刀は、判者の米田支部長により、それぞれ見どころのある、在銘の5振りが用意されました。
刀の鑑定、および講評後、支部員のk氏による本阿弥文書の紹介と解説がありました。
尚、当日は会終了後、恒例の新年会を場所を移して開催しました。
【鑑定刀】
1号 脇指

銘 表 近江守法城寺橘正弘 裏 武州住法城寺橘国吉 目釘穴 1個
鎬造、庵棟、身幅やや広く、重ね厚い、元先の身幅の差はすくない。
中鋒、地鉄は硬く感じ、白け気味。刃文は直刃主調に小互の目が連なる。帽子に特徴があり、乕徹に似る。

2号 脇指

銘 表 近江大掾忠広 目釘穴 1個
鎬造、庵棟、重ね厚く、中鋒。地鉄、小板目、小杢目よく詰む。刃文中
直刃、帽子、尖り気味にて返り硬く止まる。

3号 短刀

銘 表 濃州関之住兼英 裏 慶長九年八月吉日 目釘穴 2個
彫 表 独鉾付剣、 裏 護摩箸
平造、三棟、身幅広く、先反り、重ね薄い。地鉄、大板目に柾目肌。
刃文、のたれに大互の目、足入り、砂流し入りの見栄えのするもの。
帽子、地蔵で返りが深い。

4号 脇指

銘 表 備州長船盛光 裏 応永十一年十二月吉日
鎬造、庵楝、細身、小切先、地鉄、板目に小杢目、棒映り。
刃文 腰開きの互の目、小丁子刃。

5号 刀

銘 丹波守吉道 菊紋 目釘穴 1個
鎬造、庵棟、重ね厚く、身幅広く、刃文、簾刃。
今回の鑑定刀は、それぞれ見どころのある在銘刀ばかりで、特に1号刀は、有名刀工ですが、経眼の稀な刀で、素見すると肥前刀と鑑定しまいがちですが、帽子、地鉄に特徴があり、又、3号の短刀は、刀身の出来も優れ、茎仕立ても良く、銘切りに、鎚打ちの強さと鏨の走りを感じるもので、銘鑑漏れの刀匠の作とは思えない秀作でした。

(武富 記)
16.2.3-1 16.2.3-2